急いでいてお湯の温度を確かめなかった、保温水筒や調乳ポットのお湯が冷めていた、ウォーターサーバーの温水が70℃に届いていなかったかもしれない。そんな状態でミルクを作ってしまうと、このままでよかったのかと不安になりますよね。
飲ませる前に気づいたなら、そのミルクは飲ませず70℃以上のお湯で作り直してください。
もう飲ませてしまった場合の対処と相談先、70℃以上のお湯で作る理由、お湯が70℃を下回る原因と次からの防ぎ方まで、この記事でまとめてお伝えします。
ミルクを70度以下で作ってしまったときの対処
70℃に届かない(かもしれない)お湯でミルクを作ってしまったとき、することは「飲ませる前」か「飲ませたあと」かで分かれます。飲ませる前に気づいたなら、そのミルクは飲ませず70℃以上のお湯で作り直してください。すでに飲ませてしまったなら、飲み残しは捨てて、次の1本から70℃以上で作る手順に戻し、いつもと様子が違うと感じたらかかりつけの小児科に相談しましょう。
状況ごとに、そのミルク・次の1本・相談先をまとめると、次のとおりです。
| 状況 | そのミルク | 次の1本 | 相談先 |
|---|---|---|---|
| 飲ませる前に気づいた | 飲ませず70℃以上のお湯で作り直す | いつもどおり70℃以上で作る | 不要 |
| 飲ませてしまった | 飲み残しは捨てる | 70℃以上で作る手順に戻す | いつもと様子が違えばかかりつけの小児科 |
自分がどちらの状況かを確かめて、右側の行動をそのまま進めてください。
飲ませる前に気づいたら、そのミルクは使わず70℃以上のお湯で作り直す
飲ませる前に「70℃なかったかも」と気づいたなら、そのミルクは使わず、70℃以上のお湯で作り直してください。
厚生労働省のガイドラインは、調乳に使うお湯を70℃以上としています。70℃より低いお湯では、菌のリスクが下がりません。
作り直す間、赤ちゃんを待たせることになっても、次の1本を手順どおりに作ることを優先してください。
電子レンジは調乳に使わないでください。加熱にムラができ、赤ちゃんの口をやけどさせるおそれがあります。
飲ませてしまったら、残りは捨てて次の1本から70℃以上で作る
すでに飲ませてしまったなら、飲み残しがあれば捨ててください。次の1本からは、一度沸かしたお湯を30分以内に使い、70℃以上で溶かす手順に戻してください。「1回くらいなら気にしなくていい」「離乳食を食べる月齢なら平気」といった声もありますが、このガイドラインが対象とするのは12か月未満の赤ちゃんで、月齢が上がっても基準は変わりません。
飲ませたあとは、いつもと様子が違うと感じたらかかりつけの小児科に相談する
飲ませたあとに見るのは、機嫌・飲み方・眠り方などが、いつもと違うかどうかです。違うと感じたら、かかりつけの小児科に相談してください。
迷ったら様子見を続けず電話で相談してよい
いつまで何を見ていればよいか分からず、眠らずに様子を見続けてしまうこともありますよね。不安が続くなら、様子を見続けずに、かかりつけの小児科へ電話で相談してください。自分を責める気持ちになるかもしれませんが、今やることと相談先さえ決まっていれば、次に進めます。
ミルクを70度以上のお湯で作る理由
粉ミルクを70℃以上のお湯で溶かすのは、粉ミルクに含まれるサカザキ菌などを死滅させ、リスクを大きく下げるためです。石巻市は、調乳の国際的なガイドラインが2007年に変わり、それ以前より高い70℃以上が指導されるようになったとしています。上の世代の作り方と今の作り方が違うのは、この基準が変わったためです。
70℃以上のお湯で溶かすと、粉ミルク中のサカザキ菌が死滅する
70℃以上のお湯で調乳すると、粉ミルクに含まれるサカザキ菌(Enterobacter sakazakii)が死滅し、リスクが大きく下がります。このリスクの低下は、授乳に時間がかかった場合(2時間まで)や室温が高いときでも保たれます。対象の菌はサカザキ菌とサルモネラ菌です。
50℃くらいのお湯では菌のリスクは下がらない
50℃くらいのお湯での調乳は、すぐに飲ませない限りリスクを最も高め、どんな状況でもリスクを下げることにはなりません。
「ぬるめのお湯で溶かしてすぐ冷ます」のでは、菌を死滅させたことになりません。「70℃程度まで冷ましてから溶かす」という言い方も、70℃を下回る原因のひとつです。
お湯は70℃以上のまま使ってください。
12か月未満の赤ちゃんは月齢にかかわらず70℃以上で作る
このガイドラインが対象とするのは12か月未満の赤ちゃんで、低出生体重児や未熟児はリスクが高くなります。「離乳食が始まったから」「月齢が上だから」という理由で、お湯の温度を下げないでください。粉ミルクの種類が違っても、70℃以上で作る基準は変わりません。
ミルクのお湯が70度を下回る原因と次からの防ぎ方
お湯が70℃を下回る原因には、沸かしてから時間がたった、急いでいて温度を確かめなかった、保温水筒や調乳ポットの温度、ウォーターサーバーの温水の温度などがあります。原因ごとに、次の1本から確かめることをまとめます。
沸かしたお湯は30分以内に使う
70℃以上を保つには、沸騰させたお湯を30分以上放置しないでください。電気ポットや電気ケトルはスイッチが切れるまで、鍋はぐらぐらと沸騰するまで待ち、そこから30分以内のお湯を使えば、温度計がなくても基準どおりに作れます。30分を過ぎたら、沸かし直してください。
保温水筒や調乳ポットのお湯は70℃以上あるか確かめてから使う
外出時は、70℃以上を保てる水筒のお湯を持ち、飲ませる直前に作ってください。あらかじめ作ったミルクを持ち歩くのはすすめられません。
時間がたったお湯を使うときは、そのまま溶かさず、使う前に温度を確かめるか、沸かし直してください。
調乳ポットは、保温の設定温度が70℃以上かどうかを取扱説明書で確かめてください。
ウォーターサーバーは70℃以上の温水が出る機種か取扱説明書で確かめる
ウォーターサーバーの温水の温度は機種によって違うため、70℃以上の温水が出るかどうかを取扱説明書やメーカー公式で確かめてください。
70度以上のお湯でミルクを作る手順
次の1本から70℃以上で作るには、次の手順で進めてください。
- 一度沸かしたお湯を30分以内に使う
- 粉ミルクを表示どおりの量で量る
- 70℃以上のお湯で溶かす
- すぐに流水、または冷水・氷水で冷ます(水面は哺乳瓶の蓋より下にする)
- 腕の内側に数滴垂らして、熱くない(体温くらいの)温度か確かめる
- 調乳後2時間以内に飲まなかった分は捨てる
電子レンジは使わないでください。お湯を出来上がりの一部にして残りを足す方法は、こちらの記事でくわしく説明しています。
70度以下で作ってしまったミルクに関するまとめ
70℃に届かないお湯でミルクを作ってしまったとき、飲ませる前に気づいたなら70℃以上のお湯で作り直してください。飲ませてしまったなら、残りは捨てて次の1本から手順に戻し、いつもと様子が違うと感じたらかかりつけの小児科に相談してください。
迷ったら、様子を見続けずに電話で相談してかまいません。
70℃以上で作るのは、粉ミルクに含まれるサカザキ菌を死滅させるためで、50℃くらいのお湯ではリスクが下がりません。
次の1本からは、沸かしてから30分以内のお湯を使い、保温したお湯やウォーターサーバーの温水は70℃以上かどうかを確かめてください。