夜中、泣いている赤ちゃんを抱っこしながらミルクを作るとき、「毎回10分以上も沸騰させないとダメなのかな」と大変に感じていませんか。または、家族が熱いミルクに水道水を足して冷ましているのに気づき、赤ちゃんの体に影響がないかと心配になりますよね。

日本の水道水は赤ちゃんのミルク作りに使えます。守る条件は、一度沸かすことと、70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かすことの2つです。

この記事では、沸かす時間がバラバラに言われる理由や、電気ケトルの使い方、水道水で割ってしまったときにどうすればよいか、使えないときの水の選び方を解説します。

ミルクに水道水は使えるか

日本の水道水は、赤ちゃんのミルク作りに使えます。ただし、水道水は一度沸騰させ、70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かす必要があります。

「水道水はだめ」と言われるのは、蛇口から出したままの水で溶かしたり割ったりする場合です。

粉ミルクメーカーが水道水を使えるとしている理由

粉ミルクメーカーは、日本の水道水を赤ちゃんのミルク作りに使えるとしています。理由は、日本の水道水の水質基準が厳しいからです。

株式会社明治の粉ミルクは、国内の水道水で溶いたときに母乳に近くなるように作られていて、それだけで必要なミネラルがとれるように設計されています。

使えるのは一度沸かして70℃以上にした水道水

ミルクに使えるのは、一度沸かして70℃以上にした水道水です。

粉ミルクは無菌ではないため、70℃以上のお湯で溶かしてサカザキ菌を死滅させる必要があり、調乳に使うお湯は厚生労働省のガイドラインで70℃以上と決まっています。

蛇口から出したままの水道水で、直接溶かしたり割ったりしないでください。

ミルクに使う水道水を沸かす時間

ミルクに使う水道水を沸かす時間は、目的によって違います。ネットで調べると「10分」「1分」「沸騰だけ」と記事ごとに書いてある時間が違って迷いますよね。

目的ごとの時間は次のとおりです。

目的沸かす時間ひとこと
調乳の殺菌時間の指定なし70℃以上のお湯で溶かす
カルキ(残留塩素)を抜く10〜15分やかんのふたをせず沸騰させる
トリハロメタンを減らす5分程度大部分を除去できる

ミルクを作るだけなら、長く沸かし続けなくてかまいません。

調乳の殺菌に要るのは時間ではなく70℃以上のお湯

調乳の殺菌に必要なのは、煮沸の時間ではなく70℃以上のお湯で溶かすことです。ガイドラインでも煮沸する時間は指定されていません。70℃以上を保つには、沸騰させたお湯を30分以内に使うことが条件です。

50℃くらいのぬるいお湯で溶かしても、菌のリスクは下がりません。ぬるいお湯で作ったミルクを置いておくと、かえって菌が増えやすくなります。

電気ケトルならスイッチが切れるまで沸かせばよい

「毎回10分以上煮沸させるのは大変」というときは、電気ケトルや電気ポットならスイッチが切れるまで沸かせば十分です。殺菌のために長く煮沸し続ける必要はありません。鍋でお湯を沸かすなら、ぐらぐらと沸騰するまで待ちましょう。

カルキやトリハロメタンを減らしたいときの時間

カルキ(残留塩素)を抜きたいなら、やかんのふたをせず10〜15分沸騰させます。トリハロメタンは、5分ほど沸かせば大部分を減らせます。

どちらも殺菌のための時間ではなく、気になるときに行う選択肢です。毎回のミルク作りで長く沸かし続ける必要はありません。

沸かした水道水は早めに使い切る

一度沸かした水道水は、早めに使い切ってください。沸かすと消毒用の塩素が抜けて、雑菌が増えやすくなるからです。

湯冷ましとして置いておく時間は、湯冷ましの記事で説明しています。

水道水でミルクを作る手順

水道水でミルクを作る手順は次のとおりです。

  1. 水道水を沸騰させます(電気ケトルを使っているならスイッチが切れるまで待ちます)。
  2. 沸騰させたお湯は30分以上置かずに使います。
  3. 消毒した哺乳瓶に表示どおりの量の粉ミルクを入れ、70℃以上のお湯を注いで溶かします。
  4. 哺乳瓶ごと流水か冷水・氷水に浸けて冷まします(水面は哺乳瓶の蓋より下にします)。
  5. 腕の内側に垂らして熱くないか確かめます。

冷ますときは水道水を足さず、哺乳瓶ごと冷やす

冷ますときは、哺乳瓶ごと流水に当てるか、冷水や氷水に浸けます。

「熱いから水道水を足して冷まそう」と思うかもしれませんが、蛇口の水はそのまま足さないでください。

ミルクに足せるのは、一度沸かして冷ました湯冷ましや、加熱殺菌済みの調乳用純水です。

ミルクを水道水で割ってしまったとき

ミルクを水道水で割ってしまったときは、飲ませる前に気づいたなら正しい手順で作り直してください。「家族が水道水で割ったミルクを飲ませてしまった」と焦るかもしれませんが、これからは沸かして70℃以上で溶かし、哺乳瓶ごと冷ます手順に戻しましょう。

飲ませた分について言えること

過ぎたぶんより、次の1本から正しい手順に戻すことを優先しましょう。いつもと様子が違うときは、かかりつけの小児科に相談してください。

家族で同じ手順にそろえる

誰が作っても同じ手順になるように、家族で作り方をそろえましょう。家族に伝える条件は、次の3つに絞ります。

  • 水道水は一度沸かす
  • 溶かすお湯は70℃以上にする
  • 冷ますときは水道水を足さず哺乳瓶ごと冷やす

粉ミルクは自己判断で薄めず、表示どおりの量にすることも共有しておくと安心です。

水道水が使えないときにミルクに使う水

水道水が使えないときは、ミネラルの少ない市販の軟水を選び、一度沸騰させてから使います。ボトル入りの水も無菌ではないため、沸騰させてから使う必要があります。

沸かさずに使えるのは、加熱殺菌済みの調乳用として売られている水だけです。製品の表示で確かめてください。

どの水を使う場合でも、粉ミルクを溶かすお湯が70℃以上でなければならない点は同じです。

市販の水は軟水を選び、沸かしてから使う

市販の水を使うなら、軟水を選んで沸かしてから使います。硬水は赤ちゃんの未熟な腎臓に負担をかける恐れがあるからです。

軟水の目安は、神奈川県が示すWHOの区分で硬度60mg/L未満とされています。株式会社明治の粉ミルクでは、硬度120以下、できれば60以下が目安です。

この目安を満たす水でも、一度沸騰させてから使う必要があります。

ウォーターサーバー・浄水器・井戸水は確認先が違う

ウォーターサーバーや浄水器、井戸水を使ってよいかは、次の窓口で確かめます。

  • ウォーターサーバーや浄水器などの水:その水を製造しているメーカーや管理している業者
  • 井戸水:お住まいの保健所

自分で判断を抱え込まず、それぞれの窓口に確かめてみましょう。

ミルクに水道水を使うことに関するまとめ

この記事のポイントは、次のとおりです。

  • 使える条件:水道水を一度沸かし、70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かす
  • 沸かす時間:殺菌に要るのは時間ではなく70℃以上の温度で、電気ケトルはスイッチが切れるまでで十分(カルキやトリハロメタンを減らす時間は目的が別)
  • 冷まし方:水道水を足さず、哺乳瓶ごと流水や冷水・氷水で冷やす
  • 割ってしまったとき:これからの手順を見直し、心配なときは小児科に相談する
  • 水道水が使えないとき:軟水を選び、沸かしてから使う

家族みんなで同じ手順を共有して、毎日のミルク作りをラクにしていきましょう。