夜中、泣いている赤ちゃんを抱っこしながら、哺乳瓶を流水で冷ますのは時間がかかってつらいですよね。「湯冷ましを足すと早いって聞くけれど、お湯と湯冷ましの割合や、いろはすをそのまま使っていいのかが分からない」と悩んでいませんか。
湯冷ましとは、一度沸かして冷ました湯のことです。粉ミルクを溶かすお湯ではなく、70℃以上のお湯で溶かしたあとに足して、ミルクを早く冷ますために使います。
この記事では、今ある道具で安全を崩さずに早く作るための、お湯と湯冷ましの量や、市販の水を使うときの注意点について解説します。
ミルク作りの湯冷ましとは
湯冷ましとは、一度沸かして冷ました湯のことです。粉ミルクを溶かすためのお湯ではありません。「お湯」は粉ミルクを溶かすために使い、「湯冷まし」は溶かしたあとに足して温度を下げるために使います。
70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かしたあと、出来上がり量まで湯冷ましを足します。このように湯冷ましを足すことは、粉ミルクメーカーも認めています。
厚生労働省のガイドライン(PDF)で示されている冷まし方は、流水や冷水に浸けることです。湯冷ましは、これらと同じようにミルクを冷ます手段のひとつです。
湯冷ましを使ったミルクの作り方
湯冷ましを使ったミルクの作り方は、次の手順で行います。
- 消毒した哺乳瓶に、表示どおりの量の粉ミルクを入れます。
- 一度沸かした70℃以上のお湯を、出来上がり量の1/2から2/3まで入れます。
- 哺乳瓶を振って、粉ミルクをよく溶かします。
- 湯冷ましを出来上がり量まで足します。
- まだ熱ければ、流水か冷水に浸けて冷まします(水面は哺乳瓶の蓋より下になるようにします)。
- 腕の内側に少し垂らして、熱くないか確かめます。
ミルクに足す湯冷ましの用意のしかた
ミルクに足す湯冷ましは、水を沸騰させて冷ますだけで作れます。鍋ならぐらぐらと沸騰するまで、電気ケトルならスイッチが切れるまで沸かします。粉ミルクの殺菌に必要なのは、溶かすときのお湯が70℃以上であることです。そのため、湯冷ましを作るときに長く煮沸し続ける必要はありません。
もし水道水のカルキを抜きたいなら、やかんのふたをせずに10〜15分ほど沸騰させてください(石巻市)。作って置いておくなら、蓋付きの清潔な容器に入れます。ビーンスタークによると、置いておける目安は24時間以内で、常温でも冷蔵庫でもかまいません。
ミルクのお湯と湯冷ましの割合
ミルクを作るときのお湯と湯冷ましの割合は、お湯が出来上がり量の1/2から2/3まで、残りが湯冷ましです。ガイドラインでは、この割合は定められていません。目安となるのは、石巻市や粉ミルクメーカーの明治、森永乳業が一致して示している割合です。
この比率から計算すると、たとえば出来上がりが100mlなら、お湯は50mlから約67mlになります。120mlならお湯は60mlから80ml、160mlなら80mlから約107ml、200mlなら100mlから約133mlが目安です。
お湯を出来上がりの半分より減らさない理由
お湯を出来上がりの半分より減らさない理由は、粉ミルクを溶かす段階で70℃以上を保つためです。この1/2から2/3という割合は、温度をちょうどよくするための配分ではありません。
お湯をこれより減らして湯冷ましを増やすと、溶かす段階の温度が下がってしまいます。ガイドラインには、50℃の湯で調乳するとリスクを最も増加させると書かれています。そのため、熱湯と水を3対7で混ぜるといった作り方はしないでください。
冷蔵庫の湯冷ましと常温の湯冷ましで変わる足し方
冷蔵庫の湯冷ましと常温の湯冷ましでは、お湯と湯冷ましの合わせ方が変わります。「冷蔵庫の湯冷ましを足したら冷たくなりすぎた」と困ったことはありませんか。冷蔵庫の冷たい湯冷ましは少ない量でも温度が下がるので、最初のお湯を2/3側に多めに寄せておきます。
逆に常温の湯冷ましは温度が下がりにくいので、お湯を1/2側に少なく寄せます。それでもまだ熱いときは、お湯を半分より減らして調整するのではなく、流水や冷水に浸けて冷まします。最後は必ず、腕の内側に垂らして熱くないか確かめてください。
ミルクの湯冷ましに使える水
ミルクの湯冷ましには、日本の水道水を沸かして冷ましたものが使えます。ペットボトルなどの市販の水もミルクに使えますが、その場合は沸かしてから使います。ボトル入りの水も無菌ではないからです。
沸かさずにそのまま足せるのは、加熱殺菌済みの調乳用として売られている水だけです。また、市販の水を使うときはミネラル分の少ない軟水を選びます。
いろはすや天然水は沸かさずに足してよいか
いろはすなどの市販水をミルクに足すなら、一度沸かしてから使います。「いろはすをそのまま使っていいの?」と迷いますよね。水のメーカーである日本コカ・コーラは、赤ちゃんがそのまま水として飲むなら煮沸しなくてよいと答えています。
しかし、粉ミルクに溶かす場合はミルクに書かれている方法に従うよう答えています。粉ミルク側の明治のQ&Aでは、市販水も一度沸騰させるよう案内しています。ガイドラインでもボトル入りの水は沸騰が必要とされているので、ミルクに足すなら沸かしてから使います。ビーンスタークは、市販の水やウォーターサーバーの水を湯冷ましのかわりに使う場合は、メーカーに確認するよう案内しています。
沸かさずに使えるのは調乳用として売られている水
沸かさずに湯冷ましとして使えるのは、加熱殺菌済みの調乳用として売られている水です。アサヒグループ食品などのメーカーは、こうした純水なら煮沸せずにそのまま湯冷ましとして使えると案内しています。
製品ごとに表示が違うので、パッケージをよく確かめてから使ってみてください。ただし、この水を使うときでも、粉ミルクを溶かす最初のお湯が70℃以上でなければならないことは変わりません。
ミネラルウォーターは軟水を選ぶ
市販のミネラルウォーターを使うときは、軟水を選びます。硬水だと、赤ちゃんの未熟な腎臓に負担をかける恐れがあるからです。
神奈川県が紹介するWHOの区分では、軟水は硬度60mg/L未満とされています。明治は水道水が使えないときの目安として、硬度120以下、できれば60以下が望ましいとしています。この目安を満たす軟水を使うときでも、ミルクに使うなら一度沸かしてから使ってください。
湯冷ましの作り置きと保存容器
湯冷ましの作り置きは、蓋付きの清潔な容器に入れて24時間以内であれば可能です。公的な調乳の基準はありませんが、ビーンスタークは常温でも冷蔵庫でもよいとしています。24時間ごとに作り替え、容器は洗いやすく熱に耐えるものを選んでみてください。
作り置きは24時間ごとに作り替える
作り置きの湯冷ましは、24時間ごとに作り替えます。「2〜3日もたせてもいい?」「減ったお湯を継ぎ足していい?」と迷いますよね。ビーンスタークは、24時間以上たった湯冷ましは使わないよう案内しています。
使ったぶんのお湯を継ぎ足すと、最初に作ってから何時間たったか分からなくなってしまいます。そのため、24時間たったら残りを捨て、容器を洗ってから作り直します。冷蔵庫に入れず常温で保存している場合でも、24時間で作り替えます。
なぜ1日で作り替えるかというと、一度沸かしたお湯には消毒のための塩素が含まれていないからです。東大阪市は災害に備えた水の備蓄の案内で、湯冷ましは塩素がないため保存期間は1日だとしています。赤ちゃん向けの基準ではありませんが、水道水のように長くは日持ちしないことが分かります。
作り置きする容器の選び方
作り置きする容器は、蓋のついた清潔なものを選びます。湯冷ましを作ったあと「何に入れておけばいいの?空いたペットボトルでもいいのかな」と迷うことがありますよね。ビーンスタークは、蓋付きの清潔な容器を使うよう案内しています。毎日洗うものなので、口が広くて部品の少ない洗いやすいものがおすすめです。
沸かしたお湯を直接注ぐなら、熱に耐えられる素材を選んでください。このとき、保温機能のある水筒は避けます。お湯がなかなか冷めないので、湯冷ましを作って置いておくのには向かないからです。もし哺乳瓶を容器として使うなら、ふだんのミルク作りと同じように洗って消毒したものを使ってください。
飲み終えた空のペットボトルを使うのも避けておきましょう。森永乳業のQ&Aでは、自社の調乳用の水について、使用済みのペットボトルに移し替えて持ち運ぶことは衛生上おすすめできないとしています。湯冷ましもペットボトルは再利用せず、しっかり洗える蓋付きの容器に入れてくださいね。
「ミルクに湯冷ましはダメ」と言われる理由
ミルクに湯冷ましを使うのがダメと言われる理由は、湯冷ましで粉ミルクを溶かしてはいけないからです。「湯冷ましを使うのはダメなの?」と心配になりますよね。
湯冷ましを足して冷ますこと自体は、ダメではありません。ダメなのは、最初から湯冷ましやぬるいお湯で粉ミルクを溶かすことと、電子レンジで温めたお湯を使うことです。「湯冷ましを使うこと」と「湯冷ましを使ってやってはいけないこと」は違います。
湯冷ましやレンジで温めた湯で溶かしてはいけない理由
湯冷ましやレンジで温めた湯で溶かしてはいけない理由は、粉ミルクの中の菌を死滅させられないからです。粉ミルクは無菌ではなく、70℃以上のお湯で溶かすことで菌が死滅します。湯冷ましだけで溶かすと、この前提が崩れてしまいます。
ガイドラインには、50℃での調乳はいかなる状況下でもリスクを減らすことにはならないと書かれています。また、冷めた湯冷ましを電子レンジで温め直したお湯を使うのもいけません。電子レンジは加熱ムラができてやけどの恐れがあるため、調乳には絶対に使わないでください。
湯冷ましを使わずに冷ましてもよい
ミルクを作るときは、湯冷ましを使わずに冷ましてもかまいません。毎回湯冷ましを用意するのが手間なら、使わなくてもよいものです。
ガイドラインが示している冷まし方は、70℃以上のお湯で溶かしたあと、すぐに流水に当てるか、冷水や氷水に浸ける方法です。このとき、水面が哺乳瓶の蓋より下になるようにします。この方法だけでもミルクは安全に冷ませるので、やりやすい方を選んでみてください。
ミルクの湯冷ましに関するまとめ
湯冷ましとは一度沸かして冷ました湯のことで、70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かしたあとに足して使います。お湯の量は出来上がりの1/2から2/3にして、残りを湯冷ましで合わせます。
市販の水もミルクに使うなら沸かしてから使い、そのまま足せるのは加熱殺菌済みの調乳用の水だけです。作り置きするなら、蓋付きの洗いやすい容器で24時間ごとに作り替えます。湯冷ましで粉ミルクを溶かすのはダメですが、正しく足すぶんには問題ありません。湯冷ましを使わない冷まし方もあるので、やりやすい方法でミルク作りをラクにしてくださいね。
